相続のスケジュール

大切な家族が亡くなると、不慣れな葬儀や法要などの準備に追われながら、さまざまな手続きをしなくてはなりません。
大切な家族を失った悲しみにも関わらず、相続に関連した手続きは待ってはくれません。
期限が定められているものもたくさんあります。

相続は、皆様の人生の中で財産が大きく変動する機会ですので、悔いのないように、必要であれば専門家の知識を活用しながら対応することをおすすめします。

さいしょの相談窓口は、弁護士・税理士・司法書士など誰でも大丈夫です。
士業同士のつながりがあるため、必要となる専門家を紹介をしてもらえます。

目次

相続のスケジュール

手続きの全体の流れを把握しましょう。
「◎」がついていないものについては、必要に応じて手続きを行います。

葬式関連の手続き

死亡当日

  • 親族などに連絡:亡くなった人と関係が近い順に連絡します。連絡手段は電話で大丈夫ですので、なるべく早めに連絡しましょう。
  • 葬儀社に連絡:通夜・葬式・火葬の場所と日時、病院からの遺体の搬送先の打ち合わせします。
  • 死亡診断書の取得:医師が発行します。いろいろな手続きで必要になりますので5枚くらいコピーを取っておくのがいいでしょう。
  • その他:つきあいのあるお寺などがある場合には、早めに連絡します。

2日目

  • 死亡届の提出、火葬許可の申請:市区町村の役所が窓口になります。一般的には、葬儀社に死亡診断書を渡して、手続きを代行をお願いすることが多いです。

3日目

  • お通夜:お葬式の前日に、親族や親しい友人など、ゆかりの深い人が集まり、夜通し明かりを消さずにご遺体を見守る儀式です。最近は、夜通しではなく1~2時間でする半通夜も増えています。
  • 香典返し:忌明け法要が終わってから香典返しを贈るのが一般的ですが、葬儀当日に香典返しを渡す即日返しが増えています。
  • 初七日:最近は、繰り上げ法要といって、葬儀の日に初七日の法要も併せて行うことが多いようです。

7日目

  • 葬儀費用の清算:基本的には喪主が負担します。葬儀社によりますが、葬儀をしてから1週間後に支払うことが多いようです。

役所関連の手続き

  • 保険証の返却と資格喪失届
    亡くなった方が自営業などしていた場合(国民健康保険)⇒亡くなった方が住んでいた市区町村の役所で手続きをします。期限は、亡くなってから14日以内です。世帯主がなくなったときは、世帯全員分の保険証を返却し、世帯主を書き換えた保険証を発行してもらう必要があります。
    亡くなった方が75歳以上の場合(後期高齢者医療保険)⇒亡くなった方が住んでいた市区町村の役所で手続きをします。期限は、亡くなってから14日以内です。
    亡くなった方が会社員の場合(健康保険)⇒会社の担当者に連絡を入れ手続きしてもらいます。期限は、亡くなった日から5日以内です。亡くなった方の扶養に入っていた家族は、別の家族の扶養に入らない限り、国民健康保険への切り替えが必要になります。
  • 年金受給停止依頼亡くなった方が年金を受け取っていた場合には、最寄りの年金事務所、または年金相談センターで手続きをします。期限は、亡くなった日から、厚生(共済)年金が10日以内、国民年金が14日以内です。
  • 介護保険の資格喪失届亡くなった方が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護・用支援の認定を受けていた場合には、亡くなった方が住んでいた市区町村の役所で手続きをします。期限は、亡くなった日から14日以内です。
  • 住民票の世帯主を変更世帯主が亡くなり、残った世帯員が2人以上になるときは、誰が世帯主になるかはっきりしないため、亡くなった方が住んでいた市区町村の役所で手続きをします。期限は、亡くなった日から14日以内です。

相続・税金関連の手続き

相続の準備

  • 遺言書がないか確認する
    自筆証書遺言の場合⇒自宅や貸金庫などで保管されていることが多いです。法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合には、法務局に保管されますので、最寄りの法務局で確認します。
    公正証書遺言の場合⇒公証役場に保管されますので、最寄りの公証役場で確認します。
  • 相続財産の調査をする:亡くなった方の自宅を中心に探します。車や家財・現金などのように、目で見てわかるものは見つけやすいですが、銀行預金や生命保険・不動産など、自宅にない財産は書類で確認します。証券会社を知りたいときは、証券保管振替機構(通称ほふり)に開示請求をします。生命保険については、一般社団法人「生命保険協会」の「生命保険契約紹介制度」を利用します。
  • 財産をどうするか考える:プラスの財産が少なく、借金などマイナスの財産のほうが多いときは相続放棄を検討しましょう。財産が多い場合には、相続人同士で誰がどの財産を相続するか検討しましょう。また、相続税の申告が必要かどうかも検討しましょう。

必要に応じて専門家にお願いしたい手続き

  • 青色申告の申請亡くなった方から、不動産賃貸業やそれ以外の事業を引き継ぐときは、相続人の住所地を管轄する税務署に所得税の青色申告の承認申請書を出すことをオススメします。期限は、相続開始日によって、亡くなった日から1か月半~4か月以内です。
  • 単純承認、相続放棄、限定承認の判断:相続人は、相続の開始を知った日から3か月以内に遺産相続に対する自らの立場を選択しなければなりません。
    単純承認⇒被相続人の遺産を全て受け継ぐということです。単純承認をするための手続きは特に必要なく、限定承認も相続放棄もしなかった場合や、遺産を処分したときは単純承認したことになります。
    相続放棄⇒借金の方が多いことがはっきりしている場合など、被相続人の遺産を一切相続しないことです。相続開始から3か月以内に、家庭裁判所に手続きをする必要があります。相続放棄は相続人一人で行なうことができ、他の相続人の同意等は不要です。
    限定承認⇒被相続人の債務の額がまだ不明だけれども、財産が残る可能性もある場合に、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐという制度です。限定承認は、相続開始から3か月以内に、相続人全員で家庭裁判所に手続きをする必要があります。
  • 準確定申告亡くなった方が自営業などをしていた場合には、相続人が亡くなった方の代わりに、亡くなった方の住所地を管轄する税務署に確定申告をする必要があります。期限は、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内です。
  • 相続税の申告と納付相続財産が基礎控除額を超えている場合には、亡くなった方の住所地を管轄する税務署に確定申告をする必要があります。また、配偶者控除や小規模宅地の特例などを利用するためには、確定申告をする必要があります。期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
  • 遺留分侵害額請求:遺言がある場合には、基本的に亡くなった方の意思に沿って財産を分けますが、遺言の内容に関係なく、相続できる最低限の権利として認められているものが遺留分です。遺言の分け方が遺留分に満たないときは、たくさんの財産を受け取っている人に対して遺留分侵害額請求ができます。期限は、遺留分を侵害されたことを知ってから1年間、または亡くなった日から10年間で時効になり、請求ができなくなります。
  • 葬祭費・埋葬料の給付申請:亡くなった方が「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」に入っていたときは、亡くなった方が住んでいた市区町村の役所、亡くなった方が会社員などで「健康保険」に入っていたときは、協会けんぽまたは健康保険組合に手続きします。葬儀をした日の翌日から2年間で時効になり、請求ができなくなります。
  • 高額療養費の請求亡くなる直前に、高額な医療費がかかっていたとき、申請することでお金が戻ってきます。亡くなった方が「国民健康保険」「後期高齢者医療保険」に入っていたときは、亡くなった方が住んでいた市区町村の役所、亡くなった方が会社員などで「健康保険」に入っていたときは、協会けんぽまたは健康保険組合に手続きします。診療を受けた月の翌月の初日から2年間で時効になり、請求ができなくなります。
  • 死亡保険金の受け取り:生命保険会社に手続きをします。亡くなった日の翌日から3年間で時効になり、請求ができなくなります。
  • 遺族年金の請求:最寄りの年金事務所、または年金相談センターに手続きします。亡くなった日の翌日から5年間で時効になり、請求ができなくなります。
  • iDeCoの死亡一時金の受け取りiDeCoに加入していたときは、運営管理機関に手続きをします。亡くなった日の翌日から5年間で時効になり、請求ができなくなります。

その他の手続き

期限はありませんが、少し落ち着いた後で手続きをします。
亡くなった方が契約していた公共料金などの変更・解約、亡くなった方が所有していた不動産などの名義変更を行います。

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